第1章 概要
1.1 RAINBOWとは
RAINBOWとは工務店などの建築及び建設業向けの工事支払管理システムです。発注先に対する支払を効率的かつ的確に管理することを第一の目的とするものです。支払業務は実行予算の作成、支払予算の作成と発注先の決定、発注書の作成、発注先よりの請求額の査定と支払額の決定、現金手形などの支払方法の決定、支払明細通知書作成、会費等の領収書作成、また銀行に対する振込依頼書作成など多岐に渡ります。RAINBOWではこれらの業務が迅速に行えるように工夫されています。
支払管理業務の中心となるデータは支払日に於ける業者に対する実際の支払です。支払業務を効率的に行うことは勿論ですが、この支払データに工事種別や会計科目等の付加情報を入力すれば付加的に工事原価管理や会計管理に必要な情報を得ることができます。RAINBOWはこの事に着目して作られたシステムです。
RAINBOWによる主な業務は次の通りです。
実行予算の作成
受注または受注後に電気工事、内装工事などの工事種目毎に工事に要する予算を決定します。
支払予算の作成
工事種目毎の予算をどの業者にいつ幾らで発注するかを決定します。
発注書の作成
支払予算を元に発注先に対して発注書を作成します。
請求書の受理
工事の進行に従い発注先より請求書を受け取ります。
支払額の決定
発注先よりの請求額が工事進捗を考慮して妥当かを検討し支払額を決定します。
支払方法の決定
1つの発注先は複数の工事を行っています。これらの工事に対する支払額の合計に対して手形や振込などの支払方法を決定します。
支払業務
発注先に対して支払明細通知書、会費の領収書を発行し、また銀行に対しては銀行別に振込依頼書を作成します。
入金業務
請負先よりの工事代金の入金を行います。
振替業務
労務費や原価償却などの支払以外に発生する費用の工事への振替を行います。
RAINBOWではこれらの業務が効率的に行えるように工夫されています。
またこれらの過程で入力されたデータをもと、入金管理、工事原価管理、会計管理を行う多くの帳票を得ることができます。
工事原価管理について
1つの工事は基礎工事、大工工事、鉄筋工事、電気工事、内装工事など複数の工事より構成されています。これらを工種といい、1つの工事の原価は工種毎に管理されます。RAINBOWでの実行予算は工種毎に作成されます。また支払データには工種を付加することができます。RAINBOWではこれらを工種毎の予算と支払実績を元に原価管理を行います。さらに工種をより細かく分類した細目による原価管理も行えます。
会計管理について
工事の支払管理を一般的な工事用財務会計システムを使用して行っている事業所もあります。会計伝票に工事番号や支払先を記入して処理するものです。このように会計伝票を用いて支払管理を行うことも不可能ではありませんが、会計システムには支払額や支払方法の決定に対して特別な機能は用意されていませんので効率的に行うには不向きでした。RAINBOWには支払業務に特化した便利な機能が用意されています。また財務会計システムは会計に精通した担当者が運用しますが、RAINBOWは専門的な知識がなくても利用できます。さらに業務を分担し、例えば予算作成を設計者に、支払額の査定を現場担当者に任せることなども可能になっています。RAINBOWで会計処理を行うには、入力する支払データに会計科目を付加するだけです。RAINBOWではこの入力されたデータを元に自動的に会計情報を作成します。工事台帳、仕分日記帳、未成工事支出金集計、完成工事原価計算書、など工事に関する会計処理はほとんどRAINBOWで行えます。従って財務会計部門では工事や支払先の管理は行う必要がなくなり、簡潔な処理とすることができます。またRAINBOWには仕訳データをエクスポートする機能もありますので、財務会計システム側で取り込むことも可能です。
1.2 RAINBOWの特徴
- 業者に対する支払管理を中心にした分かりやすく現実的なシステムです。
- 建設工事、建築工事、舗装工事等など複数の業種を同時に扱うことができます。
- 工種毎の原価管理ができます。
- 科目毎の原価管理ができます。
- 実行予算の作成により、工種及び原価要素(材料費、労務費、外注費、経費)毎の予算管理ができます。
- 支払先に対する支払予算を作成し管理することができます。
- 貴社の様式に合わせた発注書、支払通知書、領収書を白紙用紙に印刷できます。
- 工事外の支払も管理できます。
- 立替金の支払や受取も管理できます。
- 支払額に対する支払内訳(現金、振込、手形、会費)のパターンを登録できます。
- 請負先よりの入金も管理できます。
- 社内で発生した労務費や減価償却費なども工事原価に振替られます。
- 消費税は入金、支払とも取引先毎に内税、外税、非課税の設定ができます。
- 財務会計処理に必要な会計データの仕分日記帳や日次集計表を作成します。
- 仕分日記帳をファイルとして出力することができます。
- 財務会計に必要な明細書や管理表を作成します。
- 全ての管理帳票は画面用に見やすく加工して表示することができます。
- 入力されたデータはディスク容量に応じて1年以上何年分でも記録できます。
- 月次締めや年次締めなどの更新処理がありませんので、いつでも必要なときに遡ってデータを追加修正することができます。
- データベースを使用していますので複数のPCから同時に使用することが使用できます。
- 複数の会社を管理することができます。(要別途ライセンス)
1.3 動作環境
OS | Windows2000、XP、VISTAでご利用いただけます。 |
メモリ | Windows2000、XPで512Mバイト、VISTAで1Gバイト以上を推奨します。一般にデータベースはメモリーが多いほど早く動作します。 |
ディスプレイ | 1024x768以上の解像度が必要です。 |
プリンタ | インクジェットプリンタまたはレーザープリンタが必要です。ネットワークプリンタも使用可能です。 |
ネットワーク | 当システムはLAN上の複数のコンピュータより同時に利用することができます。ただし利用者の多い場合は専用のデータベースサーバーを設置することを推奨します。 |
1.4 製品構成
当社より提供する支払管理システム『RAINBOW』は次のものより構成されます。
- ① セットアップCD
- ② セットアップマニュアル
- ③ ライセンス通知書
1.5 主要項目桁数
支払管理システム『RAINBOW』で使用される項目の内で主なものの桁数は次の通りです。
項目 | コード | 名称 | 備考 |
---|---|---|---|
工事区分 | 数字1桁 | 漢字 7桁 | 建築工事、建設工事など |
工事種目 | 数字2桁 | 漢字10桁 | 工事区分毎に設定可 |
工事細目 | 数字2桁 | 漢字10桁 | 工事種目毎に設定可 |
会計科目 | 数字4桁 | 漢字10桁 | |
補助科目 | 数字4桁 | 漢字10桁 | 科目毎に設定可 |
銀行 | 数字4桁 | 漢字10桁 | |
銀行支店 | 数字4桁 | 漢字10桁 | 銀行に設定可 |
担当者 | 数字4桁 | 漢字10桁 | |
支払先 | 数字6桁 | 漢字20桁 | |
発注者 | 数字6桁 | 漢字20桁 | |
工事 | 半角文字8桁 | 漢字20桁 | |
物品 | 半角文字8桁 | 漢字20桁 |
(注)各名称には漢字1文字に対して半角文字2文字の割合で混在できます。
1.6 処理の流れ
支払管理システム『RAINBOW』を用いて工事原価管理を行うには、次のような手順でおこないます。
①.データベースのインストール
↓
②.支払管理システムのインストール
↓
③.会社データの作成
↓
④.基本会計科目の登録
↓
⑤.システム設定
↓
⑥.マスタ登録
↓
⑦.予算登録
↓
⑧.支払データ入力
↓
⑨.入金データ入力
↓
⑩.内部振替データ入力
↓
⑪.管理表作成
↓
⑫.データ整理
①.データベースのインストール
当システムはデータの管理にデータベースエンジンとしてMicrosoft SQL Server を使用します。このデータタベースエンジンは通常インストールされていません。始めにこれをインストールする必要があります。データベースエンジンは支払管理システムだけで使用するものではありませんので、すでにインストール済みの場合は省略することができます。複数の会社データを運用する場合もインストールは一つだけでかまいません。また複数のPCで運用する場合もLANでつながれている場合はインストールは一つだけでかまいません。詳細は「2.3 データベースのインストール」をお読み下さい。
②.支払管理システムのインストール
支払管理システムを運用するには、プログラムをお使いのPCにインストールする必要があります。複数の会社データを運用する場合もインストールは一つだけでかまいません。また複数のPCで運用する場合もLANでつながれている場合はインストールは一つだけでかまいません。詳細は「2.4 支払管理システムのインストール」をお読み下さい。
③.会社データの作成
会社の処理をするには、会社毎に予めデータ領域を作成しておく必要があります。複数の会社データを作成し運用することができます。ただし会社毎にライセンスが必要です。詳細は「2.5 会社データの作成」をお読み下さい。
④.基本会計科目の登録
システム設定で必要となる基本的科目を予め登録します。登録の必要な科目には次のものがあります。科目コードおよび科目名は任意に設定できます。
(1)工事受入金
(2)未成工事支出金
(3)受取消費税
(4)支払消費税
(5)受取手形
(6)支払手形
(7)立替金
(8)諸口
科目の登録は[5.3 会計科目マスタ]をお読み下さい。
⑤.システム設定
支払管理システム『RAINBOW』は貴社の業務内容に応じて、処理方法をカスタマイズすることができます。このための設定をシステム設定と呼び実際の運用に入る前に実行します。『RAINBOW』の運用中に必要に応じて変更することもできます。詳細は「第4章 システム設定」をお読み下さい。
⑥.マスタ登録
データ入力で使用する工事種目、会計科目、支払先、発注者、工事等はコードにより入力します。従ってこれらには予めコード付けを行い、マスタに登録しておかねばなりません。また途中で新しい支払先や工事等が増えた場合も登録しなければなりません。また変更があれば修正が必要です。
支払先、発注者、工事はデータ入力中の画面でもマスタ登録できますので、予め登録しておかなくても結構ですが、コードをどのように付けるかの規則は決めておいて下さい。
詳細は「第5章 マスタ登録」をお読み下さい。
⑦.予算登録
工事を受注するとまず実行予算を立てます。実行予算は工事種目毎に材料費、労務費、外注費、経費の原価要素に区分して登録します。
次に工事種目毎の予算を支払先毎に配分する支払予算を立て、登録します。
支払予算を入力すると、注文書が発行できます。
詳細は「第6章 予算登録」をお読み下さい。
⑧.支払データ入力
業者から工事費用の請求がくると支払先毎、工事毎に請求額を入力します。
入力後、支払査定記入表を出力し、現場責任者等が支払の査定額を記入します。支払査定記入表を元に請求額に対する支払額を入力します。登記料などの業者の立て替えに対する支払は「立替金」として入力できます。また工事外の購入品なども「工事外支払」として入力できます。
次に支払先毎の支払額合計に対して、現金、当座預金、手形等の支払内訳を入力します。
詳細は「第7章 支払入力」をお読み下さい。
⑨.入金データ入力
発注者より入金を工事毎に入力します。登記料などの立替払いに対する入金は「立替金」として工事代金とは区別して入力できます。
詳細は「第8章 入金入力」をお読み下さい。
⑩.内部振替データ入力
会社内部で発生した費用を各々の工事の原価に振替えます。たとえば機械や建物の減価償却費、交際費、給料及び手当などがこれにあたります。
詳細は「第9章 振替入力」をお読み下さい。
⑪.管理表作成
入力されたデータを元にいろいろな管理表を作成することができます。管理表は に次の4つに大別され各々豊富な帳票が出力されます。
(1).支払管理
(2).入金管理
(3).原価管理
(4).会計管理
また各出力は印刷だけでなく、画面でも見やすく表示されます。またこれらはいつでも出力可能で、何度でも再実行できます。
詳細は「第10章 管理表作成」をお読み下さい。
⑫.データ整理
入力されたデータはデータベースの中にどんどんと蓄積されていきます。データベースの容量に比べて追加されるデータには通常は充分余裕がありますが、いずれ不要のデータを削除しなければなりません。これをデータ整理といい、日付を指定しそれ以前のデータを削除することで行います。データ整理は任意の時に実行できます。
詳細は「11.3 データ整理」をお読み下さい。